|感情がパフォーマンスに左右される
感情コントロール。それはアスリートにとって試合本番でのパフォーマンスを左右する大事なメンタルスキルです。人は「感情の生き物」とよく言われます。1日の中でもポジティブな感情(喜ばしい、楽しい)の時もあれば、ネガティブな感情(悲しい、怒る)な時もあります。そして、ポジティブな感情のときは楽しさを感じ行動の質もあがります。ネガティブな感情のときはストレスを感じ、集中がうまくできるずに行動の質は下がるものです。このように私たちの行動の質・パフォーマンスは感情に左右されています。きっとあなたもアスリートとして、試合前の感情や試合中の感情がパフォーマンスを良いものにしたり、悪いものにしたりした経験が多々あるはずです。
そして、その感情に大きな影響を与えているものがあなたの「セルフトーク」です。
|セルフトークとは何か?
あなたの感情を無意識にコントロールしているもの、それが「セルフトーク」です。セルフトークとは自己対話のことで、あなた頭の中でされている自分との会話のことです。自問自答ともいいますね。例えば、朝目がさめて、「今日は試合、楽しみだな~」「今日は体疲れているな~」と思ったりすることがありますよね。メンタルノートを書くときもセルフトークをしています。「2年後の目標は?そうだな~、○○を達成すること」「今日の練習では何を意識しようかな?今日は○○を意識しよう。」など。また、カフェでお茶を飲んでいるときもぼーっとしているようで頭の中では「友達の○○どうしているかな~」「なんで監督は自分を使ってくれないのだろう」「次の試合で結果を出さないとやばいな」など自分と何かしらの会話をしています。このような自分と対話、それがセルフトークです。このセルフトークをあなたは1日5万~6万回やっていると言われています。数万回とは驚きですよね。私たちは朝から晩まで、そして寝ていても無意識にセルフトークしているわけです。
では、このセルフトークがどのように感情、そしてパフォーマンスに影響を与えているを説明していきます。下の図をご覧ください。
出来事がどのようなセルフトークを生み出し、感情に影響を与え、そして最終的に行動やプレーを左右するのか、上記が一連の流れになります。次にポジティブな例とネガティブな例の2つをあげてみます。
【Case1:一般的にポジティブな出来事】
出来事:試合の入りが良く、最初のプレーがうまくいった
⇒とらえ方・考え方:「最初のプレーがうまくいくと今日は調子が良い」ととらえる
⇒セルフトーク:「今日は調子がいいぞ!次もこの調子でチャレンジしていこう!」
⇒感情:ポジティブな気持ちになり、自信が高まりモチベーションもあがる
⇒行動・プレー:次のプレーでも積極的な行動、チャレンジングなプレー
【Case2:一般的にネガティブな出来事】
出来事:最初のプレーでミスをする、うまくいかない
⇒とらえ方・考え方:「最初のプレーがうまくいかないときは調子が悪い」ととらえる
⇒セルフトーク:「次もミスしそう。次もミスしたらどうしよう。次ぎ取り返さないと。なぜうまくいかないんだろう・・・。」
⇒感情:ネガティブな気持ちになり、不安な感情でテンションがさがる
⇒行動・プレー:次のプレーでも消極的な行動、置きに行くような消極的なプレー
いかがでしょうか?出来事がどのようにセルフトークを生み出し、感情に影響し、行動・プレーを左右するのかが理解できたかと思います。
それでここからが「セルフトークで感情をコントロールする」ための大事なポイントをおさえていきましょう。
|セルフトークでのポイント①「とらえ方をかえる」
セルフトークで感情をコントロールするポイントをここでは説明していきます。まずひとつめが「とらえ方・考え方(以下、マインドセットと呼びます)」です。起こった出来事をどのようにとらえていくのか、このマインドセット次第でセルフトークはプラスにもマイナスにもなります。ここは非常に大事です。セルフトークはマインドセット次第で変わるのです。
例えば、上記の「Case2に「最初のプレーでミスをする、うまくいかない」という出来事がありました。この場合のマインドセットが
「最初のプレーがうまくいかないときは調子が悪い」
でした。このマインドセットは本当に多くのアスリートがもっています。本当に試合の入りが悪かったら今日の調子が悪いのでしょうか?それは事実ではありません。ミスがあるのがスポーツです。10回中7回成功するとしたら、最初にミスがきただけの可能性もあります。では、今回の出来事をどのようにとらえると良いでしょうか?
サッカー日本代表の本田圭佑選手はミスに対して次のようなマインドセットを持っています。
『ミスは過程、最後に成功すればミスは過程に変わる。だから成功するまで諦めないだけ。』
このようなマインドセットを持っていれば、例えば最初にミスが起こったとしても次はうまくいく、最後にはうまくいくと自分を信じることができるはずです。そうするとセルフトークもマイナス側ではなく、「次もチャレンジしよう」「次もいつも通り集中してプレーしよう」とプラス側のセルフトークを続けることができるようになります。
↑本田圭佑選手は自問自答(セルフトーク)にこだわるトップアスリート
では、どのようにすれば出来事に対し、自分にとってのプラスの「マインドセット」を持つことができるのか?一番のオススメは「読書」です。あなたがリスペクトするトップアスリートや過去の偉人の著書を読むことがあなたの物事へのとらえ方を成長させてくれます。失敗に対するとらえ方、大事な試合にむかう考え方、ケガやすらんぷになったときにとらえ方、キャリア全体に対する考え方、不安や緊張に対するとらえ方などたくさんのヒントをもらえることでしょう。この「マインドセット」を成長させるために、いくつか私のオススメを以下にリンクしておきます。参考にしてください。
■「錦織圭 マイケル・チャンに学んだ勝者の思考(サンクチュアリ出版) 児玉光雄」
どれも最高のエッセンスがつまった良書です。トップアスリートの多くは決まって読書家です。あなたもその仲間入りをしてください。
|トップアスリートのマインドセットをインストールせよ!
アスリートの著書などで良いマインドセットが見つかったら次にすることがそれをノートや手帳にまとめていつでも見れるようにしておくことです。新しいマインドセットをあなたにインストールするためには、長期記憶に定着させることが重要です。そのためには何度もその重要なマインドセットにふれる機会を増やすことが重要です。何度も目にし、読み、心の中で読み返することであなたのマインドセットにすることができます。それでは、あなたのセルフトークをかえパフォーマンスを高めるためのマインドセットのトレーニングを進めていきましょう。以下のテキストをダウンロード、もしくはノートを用意し、お気に入りのコーヒーでも飲みながらリラックスして取り掛かってください。
今回のワークは簡単です。スマートフォンやタブレットなど「イチロー 名言」と検索すると名言集を集めたサイトが出てきます。自分が尊敬するアスリートの名言(マインドセット)を10個選んでダウンロードしたシートに書きましょう。
【マインドセット・ワーク】
1.「○○ 名言」で尊敬するアスリートの名言サイトをみる
2.自分の心に響く、インストールしたいマインドセットを選び書く
3.10個選んだら終了。もう一度、10個を眺めて自分に入れる
4.部屋やトイレなど毎日目にする場所にはる。または手帳に書き写す。スマフォの待ち受けにする。
さあ、これでまたトップアスリート思考に近づきました。次のトレーニングでは「セルフトーク自体をコントロールする方法」を学んでいきます。
コメントをお書きください